子どもの「会話力」を家庭で育てる
言いたいことを言いたいタイミングで言ってしまう。
- 話が止まらない。
- 真に受けてしまう。
気になる点がよくあります。子どもの会話力のサポートに役立たせたいと思い、読んでみました。
『発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる本 (健康ライブラリー)』
未就学児くらいのお子さんを対象とした内容になっています。
本書の中で一番気になったのは、「サリーとアンの課題」に代表される心の発達面でした。
「サリーとアンの課題」とは
「心の理論課題」として有名な「サリーとアンの課題」のテストです。うちの子は引っかかりそうですね。
- ボールで遊んでいたサリー。ボールをフタ付きの赤い箱に入れて出かけました。
- 現れたアンが、そのボールを赤い箱から青い箱に移しました。
- サリーが戻ってきました。
[Q.]サリーはどの箱を探しますか?
このテストで正しく答えられるかどうかで、心の発達の一側面をはかることができます。
- 事実=ボールは今、どこ?
- 記憶=ボールは最初、どこに入っていた?
- 他者の理解=戻ってきたサリーは、赤い箱と青い箱、どちらを探す?
サリーが知っている内容と、アンが知っている内容との違いを区別できるかという課題です。
苦手な子が「自分と他者の視点の違い」を知るには
自分の右側は、向かい合う相手にとっては左側、という左右の違いも、視点の違いに通じるかもしれません。
子どもから見た物と、相手が見ている物の違いを実感する、ちょっとした練習方法があり、本書で紹介されています。
2枚の絵(分かりやすい絵:例えばライオンとゾウ)を背中合わせに貼り合わせて用意します。
子どもと向かいあわせに座り、
- 子どもに両面を見せます
- 片面を子どもに見せながら「何が見える?」
- では「お母さんには何が見えると思う?」
3.の問題を間違えた場合は、カードはそのままで親の側に来てもらい、子どもに絵を確認してもらいます。
他者が見えるもの・考えていることを想像する練習になるようです。
次のステップとして、
2枚のカードを見せて、1枚のカードを隠す。
1)隠すところを子どもの目の前で
2)見せずに隠す
隠れているカードを答えてもらう。
さらに上のステップでは、
- サリーとアンの課題のように、自分が知らない間に他人が物を動かしていた状況を人形を使って実践してみる
- 家の中で親は目隠しをして、目的の場所まで子どもに案内してもらう
という方法も家庭でできそうです。
子どもが人にわかりやすく伝える話し方…練習する方法
敷居が高そうに感じる「作文」。
本書によると、作文には重要な3つのポイントが含まれているらしく
- 中枢性統合…話題を取捨選択
- 実行機能…その話題を順序だてる
- 心の理論…相手(読み手)に分かるように表現する
小学校に入学すると、文章を書く授業があります。1年生の夏休みから、日記も課題に入っています。
ハードルが高そうに感じるお子さん(わが家も含めて)に向けて、作文に近い内容を練習する方法が書かれていました。
- 1日の出来事を撮影する
- 印象に残った写真を選んで印刷
- 選んだ写真を「時系列」「楽しかった順」など好きな基準で並べる
写真をもとに、子どもに順番に説明してもらいます。
選んで考えて表現する…作文は奥深いですね。
トラブルの内容を子どもから聞き出す「話の枠組み」
- 聞き出したくても話してくれない
- 話してくれるんだけど、内容が「???」
ということ、あると思います。
聞き出したいことがある際は、「話の枠組みを大人が考えましょう」とのこと。
- いつ・誰が・誰になど具体的にたずねる
- 「穴埋め式」のように、「〇〇したのは『 』だと思う」などの方法でたずねる
- 「どっち?」という選択式で質問…「友達は嫌がっていた?それとも喜んでいた?どっちだと思う?」
このような方法を踏まえて、子どもが答えやすく、正確な内容を答えられるような枠組みを意識してみましょう。
『発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる本』